「もんじゅ」運転再開に反対する声明(たんぽぽ舎)

  高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開に反対する声明が、たん
 ぽぽ舎より3月4日、「核開発に反対する会」より3月5日、
 それぞれ出されました。
  『「もんじゅ」推進の体制側の報道ばかり』が目立つ中で、
 この2つの声明は、「もんじゅ」の根本問題を指摘し、誤った
 路線をやめることを提起しています。時宣に合った内容です。
 多くの皆さんの一読をお願いします。
  2つの声明は、特殊原子炉「もんじゅ」という名称を使い、
 「高速増殖炉」という言葉を意識的に使っていません。その理
 由は、声明文の中に述べられています。


1.たんぽぽ舎の声明(2010年3月4日)

           「もんじゅ」を廃炉に・たんぽぽ舎声明
                    活断層の上の「もんじゅ」再稼働反対
                        将来の核兵器開発を阻止

 「高速増殖炉・もんじゅ」日本で唯一、高裁で原子炉設置許可取消判決を受け
た原子炉だ。
 2003年1月に名古屋高裁金沢支部での設置許可取消判決の最大の理由は「高温
ラプチャ」と呼ばれる蒸気発生器細管の大規模破断を想定しないなど安全審査の
不備であった。
 再審決定と同じくらい針の穴を通すような差止判決が出た原因は、特殊な原子
炉「もんじゅ」の持つ潜在的危険性を裁判所も認めたからに他ならない。
 不当にも2005年5月に最高裁により「原告敗訴」の逆転判決により棄却された
が、高裁判決の示した問題点は結局何一つ解決してはいない。

 「もんじゅ」再稼働の背景 …核武装技術の確立

 原子力行政が「もんじゅ」を失えば、日本の硬直した核燃料サイクル計画は全
く逃げ道のないものとなる。再処理工場は使用済燃料からプルトニウムを取り出
すためにのみ存在する工場で、プルトニウムは高速増殖炉があって初めてエネル
ギー源たり得るというわけだ。
 単にウラン238をプルトニウム239にしてから燃やしたいのであれば、通
常の原発で出来る。原子炉でウランがプルトニウムに変化することを「核転換」
というが、原発で概ね0.6の転換比を持っており、プルトニウムも燃えている。
プルサーマル計画に関して電力会社などが盛んに宣伝をしているとおり「プルト
ニウムは普段も原発で燃えている」のである。これを高効率で行おうというのが
高速増殖炉である。転換比を1以上に出来れば燃えた以上のプルトニウムが出来
る理屈になり、初めて「増殖」と呼ぶ。
 核燃料サイクルでは、通常の原発燃料がウランを燃やすのに対し、もっぱらプ
ルトニウムを燃やすことから「プルトニウムサイクル」という。現実にこのサイ
クルを完成させた国は無い。なぜならば、高速増殖炉を完成させた国がほとんど
無いうえ、プルトニウムを回収する「高速増殖炉用再処理工場」を商業規模で作
った国は何処にもないからだ。
 過去に高速炉燃料を再処理してきたのは主に核兵器生産施設だ。特にフランス
は、自国の高速炉「フェニックス」「スーパーフェニックス」のブランケット燃
料(増殖用に入れられた、熱出力を出さないウラン238を主体とする燃料体)
からプルトニウム239を取り出し核実験を強行した。全世界が非難した「1996
年ムルロワ核実験」で使用されたプルトニウムがそれだ。
 高速炉とは核兵器開発にとって極めて重要な設備であり、これが作れないと高
性能核弾頭は開発が難しい。米国も英国もロシアも中国も、高純度プルトニウム
239を作るために高速炉を開発し稼働させてきたが、フランスのそれが最も完
成されていた。核武装国で行ったことを日本が行おうとしているのだから、きな
臭さも格別である。イスラエルやインドが核拡散防止条約外で高性能水爆を開発
していることは、その中心コアに高純度のプルトニウム239を使うことから、
高速炉を核兵器生産に転用していることが伺える。
 日本の核武装疑惑は、その技術面については、「もんじゅ」と共に建設が中断
している東海村の「高速炉燃料用再処理工場・RETF」(リサイクル機器試験
施設)が根拠となる。これがなければ高純度プルトニウム239を扱えない。

 地震で崩壊の危険性 …「もんじゅ」直下に震源断層あり

 「もんじゅ」直下には地震を引き起こす震源断層があることは間違いのない事
実だ。その地震により形成されたと見られる地震断層が「もんじゅ」の直下と間
際に迫っている。
「活断層の真上に建ててしまった原子炉」それが「もんじゅ」なのだ。
 通常の原発に比べて「もんじゅ」の配管は薄い。内部の圧力が軽水炉の70から
150気圧に比べて2気圧以下なのだ。このためもんじゅの主配管の肉厚は薄く
なっている。
 この薄い配管に地震の力が加われば破断の恐れが出てくる。原発の配管は高い
圧力を支えるために厚く作られていることが耐震性も高い結果を生んだ。しかし
高速炉はそうはいかない。耐震性を上げるために補強工事などをしているが、本
質的問題は大きな地震断層の上に作らないことに尽きるが、皮肉なことに「もん
じゅ」は日本でも地震の多い若狭湾にある。

 いまこそ「もんじゅ」の廃炉を …事故が起きる前に止めよう

 一部政治家と原子力業界で構成される推進派により「使用済燃料の全量再処理」
などと他国に例を見ない無茶な計画を、軌道修正も出来ずにずるずると維持し続
けてきた日本の官僚には、現実的に計画を組み替えるという当たり前の解決法を
考える力もない。
 その結果生じたのが毎年200億円もの税金を無駄遣いしつつ1ワットの電力も
生まないうえ、大量の放射性廃棄物を作り続ける「負の遺産もんじゅ」だ。
 新政権による「事業仕分け」が廃炉のチャンスだったが、方針は何も変えられ
なかった。
 1986年のチェルノブイリ原発事故は最高のレベル7、米国スリーマイル島原発
事故はレベル5、1999年に2人死亡した東海村のJCO臨界事故はレベル4、
1991年の美浜発電所2号機蒸気発生器細管損傷事故は2、そして「もんじゅ」の
ナトリウム火災がレベル1だった。次に起きる事故はレベルいくつになるのか。
止めることこそが「もんじゅの知恵」なのだ。
声を上げて、力を合わせて「もんじゅ」を廃炉にしよう。
運転再開をやめさせよう。

              たんぽぽ舎
                東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
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