たんぽぽ舎パンフNo.52 「東海地震と浜岡原発事故」山崎久隆

たんぽぽ舎
パンフレット
52 東海地震と浜岡原発事故
  第一刷 2002年1月発行
第二刷 2003年5月発行
 山崎 久隆(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会)著
 36ページ 400円

 

目次
東海地震と浜岡原発
 浜岡原発震災を未然に防ぐためには原発の停止しかない
1-23
ページ
はじめに
「東海地震想定域」の上に建つ浜岡原発
地震の真上に建てた唯一の原発
マグニチュードが2増えただけで地震のエネルギーは1000倍増す
原発の耐震性?浜岡の耐震性を超える地震はいくらでもある!
原発の耐震性を高めればコストがかかる
縦揺れと横揺れの比率は1に近い
浜岡では横揺れ縦揺れ1000ガルの耐震設計が必要(実際は600と300)
地震の揺れだけで原子炉本体は壊れることはない
原発内の機器の揺れは複雑で特殊
タービン建屋の耐震設計は通常の建築基準法程度しかない
配管から水が漏れると
原子炉が崩壊する時?再循環配管の破断
老朽化で危険な1号機の配管
再循環の配管が破断する時
ECCS(緊急炉心冷却装置)が設計通りに働いてもメルトダウンになる
ECCSが働いて燃料が水蒸気爆発すると圧力容器破損の可能性もある
原子炉の命綱は再循環系の配管とECCS
メルトダウンを防ぐには、原子炉は1年か少なくとも3ヶ月以内に停止すること(崩壊熱)
燃料プールの燃料もメルトダウンの可能性がある
原発に重要でない配管はない
スリーマイル事故の原因は1つの弁
チェルノブイリ事故の原因は制御棒の抜きすぎ
ECCS(緊急炉心冷却装置)の配管は大丈夫か?
非常用電源は大丈夫か?
非常用ディーゼル発電機の起動実験は横揺れ600ガル、縦揺れ300ガルでしかない
地震時にディーゼル発電機の起動は難しい
原発を地震の1年前、少なくとも3ヶ月前に停止すること
使用済み燃料の再臨界の可能性
燃料プールに波が起きる
 

 
浜岡原発1号機事故
 一次系配管破断とECCS起動失敗そこに東海地震が起きていたら
24-36
ページ
緊急炉心冷却系配管が破裂
運転管理上の問題 なかなか止めない中部電力
資料、1号機余熱除去系配管破断に係わる事象の経過
運転管理上の問題 被曝管理
爆発した一時系配管
資料、浜岡原発1号機余熱除去系配管切断位置説明図
BWRの多くが欠陥
多重事故発生
この事故の見方
原発震災は未然に防げる

 

(本文より)
はじめに
 今日は私が話をする前に少し元気になれる話があって良かったかなと思っています。今日私がこれから話をすることは、普通に聞けば、絶望的な面が大きい話ですから、それを少しでも回避する手段を前提として、今日の話し合いがもたれるということは、それだけで全然違った未来が見えるんじゃないかなというふうに思います。

「東海地震想定域」の上に建つ浜岡原発
 地震の話というのはもうすでに何度も繰り返されていると思いますので、そんなに詳しい事は今更私が言うことはないと思います。
 「浜岡原発の真下は想定震源域である」これは誰が見ても間違いはない事実であります。ただ、若干最近変わってきているのは、想定震源域の角度とか、位置とかが、いろいろ最新の地震学、地質学の知見で多少変わっているかなという位ですが、本質的な違いはないですね。(図1)
 そこだけ簡単に言えば、これは、どこにでも引用される有名な石橋モデルですが、浜岡原発の真下にこれで言うと、幅70km、長さ115kmの長方形型をしていますが、実際にはこういうきちっとした長方形ではないわけですが、モデルとして書いてありますので、長方形型の実際に地震が起きる時に動くだろうという断面図ですね。角度約34度で海側に傾いているという形ですが、学者のなかにはもっと垂直に近い形で立っている、立ち上がっているという説を唱える人もいます。この差し渡し115km、幅70kmというのは、これだけ動けばマグニチュード8を越える巨大地震が発生をするサイズになります。だいたい8000平方キロメートルを越えるような面積が動くというだけでも、想像を絶する巨大な岩盤破壊であるということが分かります。

地震の真上に建てた唯一の原発
 ひとつ重要な問題であまり多くの人が指摘しないことに触れておきますが、日本の原子力発電所は立地の場合には重要な原則があります。それは何かと言うと、「大きな地震を起こす活断層の上には建てません」という原則ですね。
 これは阪神淡路大震災、兵庫県南部地震あるいはそれ以前以後いろんな地震が起きる度に市民団体が国や電力会社に対して、「地震の時、原発は大丈夫か?」という場合に、常套句の如く語られました。
 「今建っている原発にしろ、これから立地する原発にしろ、周辺には大きな地震を起こすような巨大な断層がないことを確認している」ということですが、同じことを中部電力も言うんでしょうかね。
 これが問題なのは中部電力の場合は断層どころではないのです。真下が「震源断層面」という実際地震を起こす本体そのものが存在することなのですね。地表に現れているのを活断層と言っていますが、あれ自身が地震を起こしているわけではありません。地震が起きた後に地表に現れた傷ですね。地殻の傷、地表の傷です。本当に地震を起こしているのは、その地下5kmあるいは50km、学者によっては15km説を唱える人もいますが、そういう深さにある震源断層面という地震を起こすところ、具体的に破壊が起きるところ、そこが地震の発生点になる訳です。
 したがって、活断層の上に原発を作りませんというのは論理矛盾というか、地震学的には無意味な話でして、正確に言うならば、「震源断層面の真上に作りません」ないしは「近くに作りません」と言うべきです。何しろ地震が起きるそばに建てちゃいけないわけですから。
 中部電力浜岡原発の場合はこの震源断層面の真上に建っている。つまり、「地震の真上に建てました」と正直に言わなければならない原子炉。これはおそらく日本で唯一ですね。今まで有力な活断層が原発の敷地内に発見されたという話はとりあえず聞きませんので、浜岡原発のような例は極めて特別な例であろうというだけに恐ろしい例だと思います。


(続く)
 



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