被ばく労働者の使い捨てを許すな!「被ばく労働を考えるネットワーク」設立集会、盛会裡に開催(11月9日、亀戸)

立ち見であふれ熱気に包まれた集会

「被ばく労働者に安全と権利を!『被ばく労働を考えるネットワーク』設立集会」が十一月九日、東京・亀戸文化センターで開催された。今月初旬、福島第一事故収束現場や除染現場の作業員の労働争議が次々に報道されたことも手伝って、多くのメディア関係者を含め参加者は二八〇名、会場は立ち見の人であふれ熱気に包まれた。被ばく労働問題を前面に掲げたネットワークの設立は全国初である。

呼びかけ人の樋口健二さん(写真家)は「多くの人がこの問題への取り組みに立ちあがったことは、歴史的意義がある。差別され、収奪され、ぼろ雑巾のように捨てられ亡くなった多くの被ばく労働者への鎮魂の想いが湧き上がる。運動を盛り上げて、社会問題化していこう。これからが正念場だ」と激励した。

同じく呼びかけ人の斉藤征二さん(元原発下請労組分会長)は「秘密のベールの中で、無数の事故隠しと労働者の被ばく、使い捨てが行われてきた。今になってやはり収束作業員が足りないということになり、今後おそらく危険な対策が取られることになるだろう。この問題は被ばく労働者だけでなく、国民すべての命にかかわることだ」として、取り組みの重要性を強調した。また、除染作業について「高線量地域での除染作業は不可能だ。ほこりを吸ったら必ず内部被ばくする。大変危険だ」と警告した。

危険手当のピンハネを告発
全国一般いわき自由労組の桂武さんは、下請け労働者からの労働相談から始まり、現在労働争議中の楢葉町先行除染争議案件について報告した。環境省直轄の除染事業における特殊勤務手当(いわゆる危険手当)ピンハネ問題である。除染特別地域での除染については作業員に労賃とは別に一日一万円の危険手当が環境省から支給されることになっている。楢葉町は除染特別地域だが、危険手当のことは労働者に知らされず、支払われていなかった。危険手当は、その仕事の危険性に対する手当であり、業者がピンハネできるものではない。労働者が騒いだことによって危険手当一万円の名目がついたが、その代わり日当一万円だった労賃が最低賃金の五千五百円まで引き下げられ、宿舎代などが天引きされた。一方的な労賃引き下げ等は不当であるとして、七月から九月まで除染作業に従事した労働者4名と全国一般労働組合全国協議会が雇用業者、一次下請け業者、元請け業者に対し、未払い賃金を要求している(注1)。

桂さんは「一時下請け業者は団交において違法はないと強弁。労基署も労働条件の改悪と認めず、危険手当に関しては環境省の管轄であるとした。環境省は危険手当+最低賃金ならばよいとの見解だ。除染特別地域以外では日当一万円が一般的であるのに、危険性の高い除染特別地域では労賃が最低賃金でよいとは、労働者をバカにしている。これが大手ゼネコン・政府の本音だ」と訴えた。

また「震災後、労働相談を受ける中で収束作業や除染作業は年収二百万円以下で劣悪な労働条件であり、決起をしたらたちまち解雇と同時に住居を失う状況であることがみえてきた。労働者が立ちあがるためには、震災直後と同じように、全国的に人・物・金を集中させることが必要だ」と支援を呼びかけた。

労働者が声をあげる拠点建設へ

神奈川労災職業病センター/よこはまシティユニオンの川本浩之さんは、「なぜ原発被ばく労働があまり注目されなかったのか」と問いかけ、労災認定の取り組みの経験から、大変な状況にある人ほど立ちあがるのは難しいこと、立ちあがることができたのはごくわずかの人たちで、仕事への誇りが支えであったことを話した。また、放射能の危険と同時に、被ばく環境下でのメンタルヘルスの問題も取り上げるべきであると提起した。除染作業の特殊勤務手当については、「手当が基本的賃金よりも高いというのは非常にゆがんでいる。人として誇りをもって働ける賃金と安定した雇用がまずあって、それに付随して手当があるべきだ」と指摘した。どうしたら当事者が安心して声をあげられるかを支援者が考え、一緒に闘える条件を作り出すことがこのネットワークの役割だと結んだ。

その後、除染の争議の当事者、原発労働者の母として木田節子さん、収束下請け作業員解雇争議を闘うフリーター全般労組の人たちをはじめ、多くの参加者がいろいろな角度から発言し、討論が深められた。

全国日雇労働組合協議会の中村光男さんは、一人ひとりが当事者だという意識をもつことの重要性を強調した。被ばく労働者に出会い、つながるための第一歩として、十一月二十五日にいわき市で講演と相談会(注2)を行うこと、また、労働者が声をあげるための拠点をいわき市に建設する構想を提起し、協力を呼びかけた。

重層下請け構造下での被ばく労働は日本の使い捨て労働の典型だ。この構造を突き崩すために力をあわせて闘おうというという気持ちが湧き起こる集会であった。

--------------------------------------
(注1)楢葉町除染危険手当ピンハネ問題争議その後
マスコミでも報道されたが、11月15日に一次下請け業者との団交で解決し、当該労働者が要求していた労働債権が支払われた。ほぼ全面勝利である。どうやら、元請けの大手ゼネコンが自分のところまで火の粉が及ばないように、一次下請けの段階でとっとと解決させたということのようだ。問題を社会化して、危険手当について労働者に知らせ、ピンハネをなくす取り組みが今後も必要である。



トップページ » 原発情報 » 原発情報・記事一覧 » 2012年 » 被ばく労働者の使い捨てを許すな!「被ばく労働を考えるネットワーク」設立集会、盛会裡に開催(11月9日、亀戸)