◆4月22日 集会報告(どう取り組むか 被ばく労働問題)

『どう取り組むか 被ばく労働問題』交流討論集会
 報告者 中村泰子

 開催日時 2012年4月22日(日)13?17時
 場所 代々木八幡区民会館 集会場(小田急線代々木八幡・地下鉄代々木公園6分)
 主催 被ばく労働を考えるネットワーク準備会
     http://www.jca.apc.org/hibakurodo/

◆4/22収録アーカイブ IWJ TOKYO-2
http://www.ustream.tv/recorded/22033823 (114分)
http://www.ustream.tv/recorded/22036055 (89分)

【集会報告】

被ばく労働問題に立ち向かう運動体結成

「どう取り組むか 被ばく労働問題 交流討論集会」が4月22日、東京・代々木八幡区民会館で行われた(参加者180名)。労働安全衛生センター、労働現場、福島現地から6人が報告し、鎌田慧氏のコメントを受けて会場全体で討論が行われた。被ばく労働問題に取り組む運動体の立ち上げ集会であり、それにふさわしく、共同して運動を作り上げていこうという意識を参加者全体で共有できたと思う。
報告・討論の中で、以下のような問題点や取り組み課題があげられた。

[制度的問題点と課題]

  1. 被ばく線量管理:放射線管理手帳制度は電力会社等の出資による(財)放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターが自主的に運営しているにすぎず、法令上の根拠はない。つまり、事業者に不都合な記録は残らないだろうから、この制度は労働者を守るためではなく事業者を守るためにあるといえる。福島原発事故緊急作業従事者に限定して、政府が初めて被ばくデータベースと健康管理に当たることになったが、やはり労働者を守るためでなく、データをとり、国を正当化するために利用されると考えられる。

  2. 健康管理手帳:原発労働者は労働安全衛生法で定める健康管理手帳の交付対象から外されている。原発労働者だけでなく原発事故被ばく者全員に、国は健康管理手帳を発行し、生涯にわたり医療保障をすべきである。

  3. 労災補償と裁判:発がん等の労災認定事例は40年間で10例のみ。裁判はすべて敗訴。因果関係の立証責任が原告にあるとされるが、これを逆転させ、被告に因果関係のないことを立証させるようにするべきである(現在九州玄海原発訴訟でこの点を提訴)。

  4. 除染作業:町内会やPTAに丸投げされ、ただでさえ被ばくしている住民が「割烹着で除染」といわれるように無防備で動員されている。1月に施行された除染電離則の実施状況はずさんそのものである。一方、大手ゼネコン中心の除染ビジネスでは新たな利権構造が生まれている。




[現場での取り組みと課題]

  1. 小名浜地区労と全港湾小名浜支部:労働組合だけでなく地域全部を束ねた反原発運動にすることを呼びかけている。住民からの共感も得られるようになった。職場では運動に参加しないとカッコ悪いというムードになってきた。

  2. 東京清掃労組:放射性物質を含む廃棄物処理に携わる職員に「内部被ばく検査」「危険手当」を要求している。「放射線障害防止指針」を整備させ下請労働者にも適用させる取り組みを行った。

  3. 全国日雇労協:被災地支援活動を行ってきたが、行政側から「県外ボランティアはいらない」とか、がれき片付けの際、線量値を教えてくれないなどの対応もされた。現地では作業員宿舎が乱立し、独占資本の牛耳る復興事業や事故収束作業に、仕事を奪われた被災者や全国から非正規労働者がかき集められている。炭坑労働の時代から今日まで、国策と独占資本の犠牲となってきたのは非正規労働者であり、被ばく労働はその象徴だ。被ばくリスクの高い清掃局や下水道局の焼却炉の保守点検は非正規労働者が行っている。現地とつながり、非正規労働者とつながる方法を考え出し、社会システムを変える運動を作り出していくことが必要である。

  4. いわき自由労組:3.11後、首切り攻撃に対抗するため、全国一般本部と連携し労働相談を行ってきた。いわき市内の避難所めぐりも行った。相談内容は、労働、生活、健康など多岐にわたるが、被ばく労働に関する相談はなかった。仮設の中には原発作業員が集中しているので、こちらから出向いて行く態勢をとる必要がある。すべてを奪われ分断されている避難民は孤立している。補償金をもらって昼間から酒を飲んでいるという陰口も聞こえるが、労働組合としては、失業問題として捉え、仲間として受け入れることが大切だ。

  5. 大熊町の明日を考える女性の会:周辺住民の間ではがんや白血病が多発しているが、原発との因果関係は認められていない。失業するか、命を削っても原発で働くかしかないという実情がある。原発で働く子どもを持つ母親は、子どもを戦争に取られたのと同じと感じている。事故収束作業員は「お前がやらなくてどうする」という強迫観念を植え付けられ、声を上げられない。代わりに周りの人が声を上げ、被ばく者全員に健康管理手帳を発行させ医療保障を勝ち取っていくことがひとつの突破口になる。




[今後の具体的な取り組み課題]

まず第一歩として、被害者や非正規労働者と出会い、つながり、信頼関係を築くという観点から、以下のような運動の方向性が見いだせる。

  • 医師のグループと連携して福島で健康相談を行う
  • 現地のグループと連携して仮設訪問による生活相談、労働相談を行う
  • 被ばく住民・労働者への放射線健康管理手帳の交付を国に求める運動を起こす(署名、省庁交渉)


今後、具体的に実施していくための相談会を持つので多くの人の参加を訴える。

 


『被ばく労働自己防衛マニュアル』の紹介

 原発労働の危険性、もし原発に行かねばならないときの最低限の注意、仕事中・離職後の自分の身を守るためのアドバイス、相談先一覧など、知っておくべき事項を『被曝労働自己防衛マニュアル』としてまとめました。

 この冊子は、被ばく労働を勧めるガイドブックでは決してありません。本人にすら被ばくの実態が知らされずにきた被ばく労働をこれ以上許さず、最低限の労働者の権利と命を守り、被ばく労働の悲劇をこれ以上生み出さないために作られました。

 原発労働者は、批判や告発をしにくい環境にあります。各地での取り組みにこの冊子をご活用ください。

お求めは、「福島原発事故緊急会議」までお問い合わせください




◆6月30日(土)?7月1日(日)、いわき市で『震災・放射能汚染後をどう生きるのか ふくしまフォーラム』が開催されます。皆様方の参加をお待ちしています。
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=1128




トップページ » イベント情報 » ◆4月22日 集会報告(どう取り組むか 被ばく労働問題)