◆若狭湾岸の原発の津波想定について危うい!(志岐常正)

【TMM:No1416】2012年4月10日発行メルマガより
(編集部:たんぽぽ舎へ寄せられた読者からの寄稿です。いま焦点の関西電力大飯原発について、隠された重要点を指摘した文のため掲載します。なお、見出しの原文は「若狭湾岸の津波想定について─原発のストレステストについて」でしたが、本文の中身を表現したほうがよいと考え、表記のように編集部で変えて表現しました)



◆若狭湾岸の原発の津波想定について危うい!
  地盤からみて、想定以上の大津波も、地震直後のすぐに津波がくることも
  関西電力の津波対策・ストレステストの問題点

(志岐常正・京都大学名誉教授(地質学))



 新聞報道によれば、野田佳彦首相は、内閣府原子力安全委員会と経済産業省原子力安全保安委員会のいわゆるストレステストと安全確認手続き完了によって、近く大飯原発再稼動の政治判断を下す考えのようです。ところが、若狭湾で起こりうる津波の想定について、この手続きの中で見落とされてきた重大な問題があるので、広く注意を喚起したいと思います。

 若狭湾一帯が活断層の巣であることは、昔から知られていたことであり、そこに原発を設置したこと自体が問題であるのは言うまでもありません。東日本大震災で福島第一原発が津波に襲われて以来、若狭の原発群が津波に襲われる恐れも多くの人々により指摘され、政府や各原発企業も対策を検討しつつあります。ところが、沖合でなく若狭湾で津波が起こる場合、水の動きが、東日本大震災の東北太平洋沖を震源とする地震による津波とも、日本海側で起こった奥尻島沖地震の津波とも、全く違うはずであることが忘れられているのです。つまり、問題は、第一に、沖合からやってくる津波をイメージして対策を考えると、またぞろ“想定外”の規模の被害をうけることになりかねないことです。

 若狭湾で起こる地震はいわゆる内陸直下型地震です。その際には、断層に囲まれたブロックをなす地盤が、瞬間的に沈むか上がるかします。つまり原発が立地している地盤か、そのすぐ側の海の地盤がどんと動き、それによって海水が動かされ、その後、ある時間、激しく運動を続けます。この水の動きはかなり複雑で、予測がかなり困難です。どの地盤ブロックが、どう動くかによって、非常に違うからです。陸と海の地形が複雑であることも関係します。水の達する高さや勢いが、従来の想定津波をはるかに越える恐れも大です。当然、これからシミュレーションや模型実験をして検討、研究しなければならないのですが、あらゆる場合をもれなく想定しなければならないわけで大変です。

 もう一つの問題は、水の動きが起こるのが地盤の突然の下がり、または上がるのと同時だということです。他のほとんどの原発では地震の揺れが来てから津波に警戒できるのですが、ここではそれができません。原発運転でのとっさの対応もほとんどできないと考えねばなりません。

 若狭湾岸の原発の再稼動に関しては、まず大飯原発のストレステストが行われましたが、この原発に限らず、若狭湾岸の他の原発についても、同じ問題があることは言うまでもありません。これまでの検討事項だけのテストでは安全性を判断することはできません。上に記した問題が、徹底的に検証されねばなりません。事は重大です。




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